イタリア中部
(トスカーナ州)

イタリア中西部にあるトスカーナはアル、シエーヴェ、エルザ、エーラなどの河川が作り出す渓谷と,明るい色のオリーブの木々と暗い糸杉が立ち並ぶ丘陵からなる。州内には、フィレンチェ(Firenze)、アレッツオ(Arezzo)
シエーナ(Siena),ピサ(Pisa)など中世から近世への過渡期あたるリナシメント(ルネッサンス)にゆかりの地が多いい。州都であるフィレンツェはルネッサン期、その原動力となったメディチ家の本拠地で、ヴェツキオ宮、ピッテ宮、ジョツトの塔がある花の聖母寺,聖クローチェ寺院などがあるイタリア屈指の観光都市でもある。
そして世界的に名声を持つキャンティを始め,イタリアで最も高品質の赤ワインを造リ出すワイン産地の一つである。

トスカーナの藁に包まれた瓶を洗流機にかける

<1990年7月10日>
今日は朝2時間をかけピサの斜塔の南にあるリボルノの村にあるサッシカイヤーぶどう園2時間歩き続け訪れた。誰もいなくぶどう畑の土壌、周りの風景を写真に収めた。午後はモンテカルロのカンティーナを見学したがほとんど相手にしてもらえなかった。帰り道の小さな村の駅で電車を待つ時間駅員の人と仲良くなり、一緒ににカンティーナ(ワイン蔵)のオーナの家に行きカンテーィナを見学した。夜は駅の食堂でまずいパスタとリゾットで10200イタリアンリラをとられ頭にきた!!今夜12時30分の電車でルフィ−ナへ向かう。
 
一言
しかしイタリアの田舎の駅員さんはとても親切。仕事中であるというのにもう一人の駅員に仕事を任せてカンティーナをガイドしてくれるなんて信じられない。もし僕が逆の立場で日本に帰り外国人観光客このような国境の壁を越えたもてなしをしなければいけないと感じた大切な一生の思い出である。

モンテカルロ(Montecarlo)
日本ではあまり知られていない、フィレンチェの東ルッカ県モンテカルロで産する辛口白ワイン
ぶどう品種 − トレッビアーノ・トスカーナ、セミヨン、ソーヴィニョン・ブラン
色風味 − 薄い麦わら色,フレッシュな切れ味のある辛口、地元では麦わらに包まれたひょうたん型の瓶で販売されている。


トスカーナ州のなだらかな小丘の斜面にあるぶどう畑

<1990年7月11日>
昨夜は夜遅く、食の町ボローニャからの電車でトスカーナ州フィレンチェの駅に到着する、お金がないため夜のフィレンチェ駅でキャンティ・ワインと友に駅のベンチで一夜を過ごす。朝方5時の始発でキャンティワインの有名な造り手ルフィ−ノの工場へ行く。駅につくと、まだ朝の6時ルフィ−ノ駅で睡眠をとる1時間もするとおまわりさんに起こされる。巨大なルフィーノの工場の前の受付で、工場見学を申し込む。残念ながら工場見学に失敗。その後駅に戻り、なんと親切な夜員で仕事を終えたルフィ−ナ駅の駅員さんが車で、次の目的地、ルネッサン時期以前からワイン造りを行っている、ポミーノ村の駅まで僕を運んでくれた。その駅からポミーノのカンティーナまで8kmくらい歩く事に、足は豆だらけだ。
 今考えてみると汚い貧乏な格好をした日本人が受け付けでワイン工場を見学したいと言ったところで、聞いてもらえるわけがない。 は!はは!!ははは!!!

キャンティ クラシッコ(Chiant classico)
世界中で愛されている、トスカーナではなくイタリアを代表する人気のある赤ワイン
生産地 − アレッツオ、フィレンチェ、ピストイア、ピサ、シエナの5県
ぶどう品種 − サンジョヴェー50〜80%、カナイオーロ・ネーロ10〜30%、トレッピアーノ・トスカーナ、マルヴァジィア・デル・キャンティ10〜30%
色風味 − 明るいルビー色、熟成につれてガーネット色を帯びる。力強い調和のいい辛口赤ワイン
飲用適温 − 18〜20℃
キャンティについて − 葡萄収穫の翌年1月1日から起算して3年以上熟成しアルコール度が12%に達したクラッシコとコッリ・フィオレンティーニなどの地理的表示付きキャンティはリゼルバ(Risserva)とひ様ジすることができる。

名門カンティーナC,エミリオの瓶詰め作業場と後継者

<1990年7月13日>
昨夜はフィレンチェのユースホステルのクッションの悪いベットに眠ることができた。早朝駅に行き、1時間30分町電車でイタリアで最も高価ワインを生む村モンタルチーノに向かった。途中乗り継ぎで2時間待たされる。イタリアでは時間がゆっくりゆっくりと流れている。小高い丘の上にあるモンタルチーノの町につくと、大雨が降ってきてびしょぬれになる。モンタルチーノでは名門カンティーナ、コンスタンティ・エミリオを訪れたが、言葉が通じないにもかかわらず、真剣にワインについて説明してくれた人々に感謝すると共に、外国で旅をするにはその国の言葉を勉強しなければいけないと痛感した。そしてカンティーナで1984年産の高価なブルネッロ・モンタルチーノを1本買い村を後にする。夜は、しらない無名の駅でピザを食べフィレンチェに戻り駅の待合室でモンタルチーノを飲みながら一夜を過ごした。

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ(Brunello di Montalcino)
イタリアで最高級赤ワインと賞されるトスカーナの南モンタルチーノ村の滑らかな丘の斜面で産するワイン
生産地 − シエナ県モンタルチーノ
ぶどう品種 − ブルネッロ(サンジョヴェーゼ・グロッソ)
色風味 − 濃いルビー色、熟成につれてガーネット色を帯びる。タンニン渋みの調和がすばらしくしっかりしたイタリアの芸術作品
飲用適度 − 20〜22℃と高め
肩書き − ぶどうの収穫の翌年1月1日から起算して4年、内、3年半は木樽での熟成を要する、5年以上熟成したものはレゼルバ(Riserva)と表示する事が出きる。長命のワインで,年によっては20年以上あるいは100年以上の熟成に耐えるワインもある。イタリアで最も値のはるワインである。

中世、トスカーナ地方の繁栄をもたらした名家メディチ家の御用達ワイナリーだった今も健在のカンティーナ(ワイン蔵)コントゥーチ家の熟成されたばかりのワインを菰瓶に詰める職人。(モンテプルチアーノ村)

注意
イタリア、トスカーナ地方には、高級ワインを産する村に、モンタルチーノ村モンテプルチアーノ村の2つの名前の似たワイン産地、そして銘柄のワインがあるので勘違いしないように、2つのワインは共にイタリアで5本の指に入る高級ワインなので、レストランなどを訪れた時はぜひ勇気と好奇心を持って注文しよう。ちなみにモンタルチーノ村とモンテプルチアーノ村の距離はわずか25kmだが交通の便が非常に悪いのでバスの時刻表を見ないと半日かかる事もある。もしこの2つの村を行き来する場合は、時刻表を事前に見ておくか、ヒッチハイクがお勧め。

ヴィーノ・ノビレ・ディ・モンテプルチアーノ(Vino Nobile di Montepulciano)
中世,古くからトスカーナの貴族に愛されてきた銘酒、現在でも頻繁にバチカンの公式晩餐会の夕食や外国からのVIPの食卓のテーブルに登場し美食家達を魅了している。
生産地 − シエーナ県、モンテプルチアーノ
ぶどう品種 − ブルニョーロ・ジェンティーレ(サンジョベーゼ・グロッソ)50〜70%、カナイオーロ・ネーロ10〜20%マルヴァジア・デル・キャンティ、トレッビアーノ・トスカーナ10〜20%、グレケット・ビアンコ
色風味 − 濃いめのガーネット色、熟成につれて赤みを帯びた栗色に、軽いタンニン、渋みが特徴
飲用適度 − 18〜20℃
肩書き − 3年以上熟成したものはレゼルバ(Riserva)4年以上のものはレゼルバ・スペチャーレ(Riserva Speciale)と表示される。

お勧めトスカーナワイン
ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ(Vernaccia di San Giamiano)
生産地 − シエーナ県のサン・ジャミアーノ  ぶどう品種 − ヴェルナッチャ
色風味 − 濃いめの黄金色、ボディある辛口白ワイン
一言 − サン・ジミニャーノ村は、幼年時代ミケランジェロが過ごし、現在石造りの高い塔はユネスコの世界遺産に指定され観光としてもすばらしい環境である。

エルバ (Elba)
生産地 − リヴォルノ県のエルバ島      ぶどう品種 − プロカニコ(トレッビアーノ・トスカーナ)
色風味 − 緑を帯びた輝く麦わら色調和のいい辛口白ワイン
一言 − リヴォルノの南,地中海に浮かぶエルバ島特産、日本に輸入されていないので必ず現地で飲もう!

カルミニャノ (Carmignano)
生産地 − フィレンチェ県・カルミニャーノ    ぶどう品種 − サンジョベーゼ、カナイオーロ、カベルネF
色風味 − ルビー色熟成につれてガーネット色に帯びる。濃くありしっかり熟成型
一言 − 生産量が少なく、キャンティより濃くあり長期熟成に耐える本格派の赤ワイン

ポミーノ(Pomino)
生産地 − フィレンチェ県のルフィーナ     ぶどう品種 − 白(ピノ・ビアンコ、シャルドネ)赤(サンジョベーゼ、カベルネ・F)      
色風味 − ビアンコは日焼けした健康的な麦わら色、ロッソは輝くルビー色、若いうちは暴れん坊で荒々しいが熟成するにつれ、滑らかになる。
一言 − ポミーノは14世紀バロック期時代からの伝統を持つフレスコバルディ家のワインが絶対お勧め!!


州都フィレンチェからワイン産地への行き方

ワイン名 目的地(生産村町) フィレンチェからの距離 交通手段
キャンティ・クラシッコ グレーブ・イン・キャンティ 23km(南南東) バス
ブルネロ・ディ・モンタルチーノ モンルチーノ 90km(南南西) 電車、後バスかヒッチハイク
ヴィノ・ノビレ・モンテプルチアーノ モンテプルチアーノ 125km(南南西) 電車、後バスかヒッチハイク
ヴェルナッチャ・サン・ジミャーノ サンジミャーノ 45km(南南西) 電車、バスが可能
ポミーノ ルフィーナ 35km(南南東) バス、後ヒッチハイク
モンテカルロ モンテカルロ 50km(西) 電車
サッシカイヤ リボルノの南40km地点 80km(西南) 電車(リボルノ乗換え)
ガリアーノ リボルノ 75km(西) 電車
エノテカ(ワイン博物館) フィレンチェ市内 駅から徒歩15分 徒歩

さあ!!みんな、トスカーナを飲み歩こう
          
     ラッチオ     その他の州