バナナ酒の造りかた

裸足で一日中バナナを売り歩く少年、モロンゴロ村のドライブインの車中から

 ンベゲ(バナナの酒)について
タンザニアの台地の恵み特産品バナナを使用してタンザニア全域ではバナナワインが造られている。このワインはタンザニアの人々はンベゲと呼び若者からお年寄りまで幅広く愛飲されている。特にタンザニア北部ケニアとの国境にそびえたつキリマンジャロ山(5895m)麓の町モシ周辺のバナナは質が高く、バナナ酒ンベゲの質もとても高いと地元の人にも評判である。バナナの酒ンベゲはアフリカ大陸東部ケニア、アフリカ中部ザイール、大西洋に面したセネガルとアフリカ全域で飲まれているアフリカ人のためのお酒といっても過言ではない。ここでは僕ジュンロウがタンザニアの首都ダルエス・サラームのスラム街キワラニ・エリアでのンベゲ(バナナワイン)の酒造りを実践を交えながら紹介しよう。


ンベゲ(バナナワイン)をつくる少女達

<1998年10月26日>
タンザニアの首都ダルエスサラーム郊外にあるスラム化されたンベゲ(バナナワイン)を造る民家ムライ家を訪問、民家周辺はバナナの甘すっぱい香りが漂っている。日本では歴史的に見ると酒は男性が造るものであるが、アフリカ大陸の酒造りは女性の作業である事が多い。左の写真は、バナナの入った鉄の大鍋に薪で火を起こす女性の姿。


バナナの酒 ンベゲの造りかた

 最初にムチョムチョと呼ばれる黄色く熟した太くて短いバナナの皮をむきバケツにほうり込み、手の平でぬり潰すようにバナナを圧搾する。バナナを潰し時間が経つにつれ甘い香りに誘われて、たくさんのハエが寄ってくる。しかし、アフリカの環境に入り3日もたてばハエや虫などきにならなくなるのは不思議である。しかしこの赤道上のアフリカ大陸で造られているバナナの酒造りは決して衛生的なものではない。

 バナナを素手で練り潰すジュンロウ

丹念に手で潰された糖分を豊富に含んだバナナはプラスチック製のバケツの中で3〜4時間放置しておくと糖分が炭酸ガスとアルコールに分解されアルコール自然発酵が生まれる。糖分をたくさん含んだバケツの中のハバナナの周りには数え切れないほどの大きなハエがダンスをしている。



 プラスチックバケツの中で軽く発酵したバナナは長細い筒型を下細長いアルミ鍋に入れられ弱火で6時間強煮込まれる。その際日本酒造りと同じようにバケツに潰されたバナナは3〜4段に分けてし込まれる段仕込みが行われる。

ブクブクと沸騰したら、鍋底が焦げないよいうに時折舟のヘラでかき回さなければならない。そしてバナナやや茶色になるまで均等にゆっくりと時間をかけ全体を均等に煮込まなければならない。この作業は通常女性の仕事だが、かなり重労働である。鍋の回りは甘いバナナの香りで一杯になる。これを搾ったジュースは"JUISI YAN DISI "と呼ばれている。 

  バナナをかき回すジュンロウ




鍋の中で柔らかくなったバナナは布で絞られ、ミレットと呼ばれるイネ科の穀物を布をかぶせ発芽させプラシックのバケツに入れ糖化作用の原理で3〜4日発酵させる。そしてバナナワイン“ンベゲ”は出来あがる。出来立ての新鮮なンベゲは甘味がありとても美味であるが、日が経つにつれてすっぱくなる。タンザニアに行きンベゲを飲むときは必ず新鮮なンベゲを飲んでください、すっぱいンベゲは、製造日から日が経っており下痢、発病の恐れがありますので注意してください。

 ンベゲ(バナナワイン)を仕込むムライさん



  タンザニアの少女達が心をこめて造った出来立てのンベゲを試飲するジュンロウ。出来立てのンベゲは甘味があり、弱発泡しています。そしてあわの中に時々胡麻のようなものが浮かんでいる事があります。これらは発酵中に死んだハエですので決して飲まない様にして下さい。そしてこのお酒は蒸留されたお酒ではありませんあまり日本人は抵抗力がないので発病の元になります。私はこのンベゲを飲みすぎ下痢と発熱でベットから起きれず日本への帰国が延びてしまいました。帰国後、北里大学病院に直行し身体検査を受けました。くれぐれもお酒の飲みすぎは気をつけましょう。