ヴァンダンジュ
(ぶどう摘み)
<1991年9月8日> ボジョレーの日記から
今日は、ぶどう摘みの初日、朝6時30分に起こされる、7時に目をこすりながらコーヒーとトーストを食べ、7時30分ぶどう摘み開始、とても朝は忙しい,摘みとり作業も想像以上に大変だ、作業の終わりが夕方6時、1日中肉体労働、今日は゛Appellation
Beaujolais village controlle"地区のぶどう摘みを行う。
<1991年9月9日> 雨 ボジョレーの日記から
あいにくの雨、朝,目を覚ましたが,昨夜はあまり眠れなかった、そして起きてみると、腰が痛く苦痛を感じる。ぶどう摘みはまだ始まったばかり、やや疲れを感じる。本当に1日が長い。
ジョルジュ爺さん (当時70歳)
ぶどう摘みのせいか腰が曲がったジョルジュ爺さん、ぶどうの摘みを先頭に立って引っぱったウルトラ爺さん。大のワインと女好き、しかしぶどうを摘み取らせたら,右に出るものはいない。休日は必ず村のバーでキャノン(Canon)スタイルでボジョレーを飲んで過ごしている。
キャノン・スタイル
キャノン(Canon)とはフランス語で大砲を意味する。キャノンとはフランス、ボジョレーのワインスラングでつまみや食事とワインを楽しむのではなく、ワインだけをコップに注ぎ飲む、フランス流酒豪の飲み方である。
解説 ますや ジュンロウ
1991年豊作のボジョレー地方、モルゴンのガメイ葡萄
ガメイ葡萄
簡単に言うと地球上にはが現在2つのタイプの葡萄が存在し、食用葡萄用(ヴィテス・ラブルスカ系)とワイン醸造用葡萄(ヴィテス・ヴィニフィラ系)の2つに大きく分かれる。現在ワイン醸造用葡萄だけでも5000に及ぶ異なる種類のものが存在する。右の写真のガメイ葡萄は北の、ブルゴーニュ地方コート・ドール地区で高級ワイン、ロマネ・コンティやシャンベルタンを産する葡萄品種ピノ・ノワールとは異なり、房が大きく、粒が大小まばらで形の悪い葡萄である。しかし高級ワイン造りから見放された“みにくいアヒルの子”的存在のガメイ葡萄から造られるワインは、20世紀後半、アルコール分が適度で果実の味がし、飲みやすいという理由で全世界流行したフレンチ・ドリーム的存在のワインである。
確かに、ガメイ葡萄を手のひらにのせ良く眺めると、粒の大きさが整っておらず、ずんぐりむっくりまさに“みにくいアヒルの子”である、しかしこのボジョレーの地では、昔からブルゴニューの高級葡萄品種を栽培する事は許可されず、おまけにボジョレーの花崗岩岡陵地では高級葡萄,カベルネ・Sやピノ・Nとは程遠い見放された地であったのである。しかし、この地、ボジョレー地方の人々は、気もせずに大切にガメイを育て続けた努力が今のボジョレー人気の原点でといっても過言ではない。
解説 ますや ジュンロウ
フランスのことわざ
ボジョレー・・・・・ ボジョレーとは、フランスのスラングで酔っ払いを意味する。
なめてはいけなぶどう摘み
ぶどう摘み、たかがぶどう摘み!面白そう!!簡単じゃん!!
そう考える人がほとんどであると思われる,フランスのぶどう摘み、しかし、その考えは大きな間違え、かなり過酷、,かつ、労働賃金をもらっている僕達は、手を抜くことが出来ないのである。
ぶどうは、一株に、15房前後なっており、まず始めに100メートル競争のスタートと同じように、横一線に並び、ひざの高さの株についたぶどうを一房一房セルペットと呼ばれる刃物で刈り取り持参したバケツに入れ1歩,1歩前進していくのである、平均100メートルの距離を、時にはその倍の200メートルの距離を中腰の姿勢で前進するのである。これは自衛隊の時経験した小銃を片手に泥沼を抱腹全身するのと同じ位、きつい!!! ぶどうが摘み取られた後ろには、パトロンのジャンが目を輝かせぶどうの摘み残しはないかチックをいれている、ぶどう摘みもなれ疲れが出てきた5日目の事、パトロンのジャンがぶどうの房を片手に真っ赤な顔をして怒鳴ってきた“ジュンロウ、このぶどうの摘み残しで何本のワインが造れると思うんだ?”かなり,僕はビビッテ反省の色を顔にあらわにした、その後方でリヨンの小太りのブロンド娘フローレンスも,ぶどうの摘み残しで厳しく注意を受けていた、彼女はついに泣き出してしまい、その場からしばらく動かなかった。フランスのヴィニュロン(ぶどう栽培者)のぶどうに対する情熱を身にしみて感じた一面だった。しかしフローレンスは,仕事が終わるといつも元気で、ワイングラスを片手にコカコーラを毎晩飲んでいた、フランスの女は強い。
セルペット 太い針金をペンチでつ潰したぶどうの幹を切るための簡単なカッター
ボジョレーワインは何房のぶどうからワインになるか?
ボジョレーワインを一本造るのに約6房のぶどうが必要である
たくさんのぶどうを乗せたトラックはモン・ドゥ・ボジョレーのぶどうの丘を後にする
ワイン醸造場へ
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